前に読んだスコットランドの民話集。
語り手から次の語り手へとながい間ずっと受け継がれてきた
民話の一つです。。
ある裕福な農家のおかみさん、イーナリーが、夫も墓の家族も寝静まった頃、布を織る仕事の仕上げにかかっていました。
「あ~あ、だれかこの布を織りあがる仕事を手伝ってくれないかしら!」
彼女が大きな声でそうつぶやくやいなや、
トントンとドアをノックする音がしました。
「イーナリー、気立ての良いおかみさんや。扉をあけなよ、あんたを手伝ってあげるから」
扉を開けると、緑色の服を着た小さな老婆が部屋に入ってきて、糸車の苗に腰掛けました。
するとその時、二回目のノックが聞こえました。
「イーナリー、気立ての良いおかみさんや。扉をあけなよ、あんたを手伝ってあげるから」
緑色の服を着た老婆がまた一人、部屋に入ってくると、糸巻き棒の前に腰掛けました。
するとその時、三回目のノックが聞こえました。
「イーナリー、気立ての良いおかみさんや。扉をあけなよ、あんたを手伝ってあげるから」
三人目の、緑の服を着た小さな老婆が入ってくると、腰掛けて、羊毛を梳き櫛で梳きはじめました。
するとその時、四回目のノックが聞こえました。
「イーナリー、気立ての良いおかみさんや。扉をあけなよ、あんたを手伝ってあげるから」
また一人、緑色の服を着た老婆が入ってくると、腰掛けて羊毛をほぐし始めました。
するとその時、五回目のノックが聞こえました。
「イーナリー、気立ての良いおかみさんや。扉をあけなよ、あんたを手伝ってあげるから」
そして五人目の、緑色の服を着た小さな老婆が入ってくると、腰掛けて羊毛を引っ張り始めました。
こうして、六人、七人、八人、九人、十人、そしてもっと大勢の、奇妙な女たちや男たちが入ってきては、糸巻棒、糸車、機織り機の作業に取り掛かりました。
家の中は、糸をほぐしたり、梳いたり、引っ張ったり、回したりする妖精たちでいっぱいになりました。
縮充をしたり、石鹸で洗ったりと、妖精たちはせわしなく動き回り、火にかけた水は沸騰して吹き零れました。
ブーン、ギシギシ、サラサラ、コツコツ、
にぎやかな音がしている間、気立ての良いおかみさんは、忙しく働いている小さな助っ人たちのために食事を用意しました。
けれども働けば働くほど、腹を空かして、いくら食べても満腹になりませんでした。
火のそばで料理をするおかみさんの顔からは、汗がどっと噴き出しました。
真夜中、困ったおかみさんは夫を起こそうとしましたが、夫は挽き臼のように眠っていました。
その時、彼女は頼りになりそうな物知り爺さんがいる事を思い出しました。
そこでおかみさんは、焼きあがったばかりのパンを食べている妖精たちを残して、
こっそり家を抜けたし、このお爺さんの所へ行きました。
爺さんはおかみさんに言いました。
「生きている限り、願い事などしてはならんのじゃ。たとえそれが叶えられても、なお不幸の元になる可能性は残っておるのじゃからな。
あんたの夫は魔法をかけられておる。目を覚まさせるには、あんたが呼んだ客に家を去ってもらわねばならん。その後で、縮充に使った水をあんたの夫にふりかけなさい。」
「どうしたら、あのお客さん方に出て行ってもらえるのでしょうか?」
「家に戻りなさい。そしてあんたの家の裏手にある塚の上に立って、三度こう呼ぶのじゃ『バーグの丘が火事だよ!』そうすれば妖精たちは、家事を見ようとみな飛び出してくるじゃろう。
やつらが皆、外に出ていったらすぐに、家の中のあらゆる物をさかさまにひっくり返し、あべこべのまぜこぜにしてしまいなさい。」
おかみさんは家に帰り、家の後ろにある塚に上ると叫びました。
「バーグの丘が火事だよ!バーグの丘が火事だよ!バーグの丘が火事だよ!」
妖精たちは家から飛び出した来ると、バークの丘の妖精塚に残してきた財宝の事を思ってわめきました。
気立ての良いおかみさんはここぞとばかりに扉を閉め、鍵を掛けました。
そして彼女は糸車の帯ベルトを外し、糸巻を棒を間違った向きに回転させ、梳き櫛を絡ませ、機織り機をこんがらがらせて、縮充に使う水を火からおろしました。
「イーナリー、気立ての良いおかみさんや、私たちを中へ入れておくれ!」
閉め出されたことに気付いた妖精たちが扉の外で叫びました。
「駄目よ。パンを焼いているんだもの!」とおかみさんは答えました。
そこで妖精たちは糸車に大声で言いました。
「糸車よ、こっちへ来て扉を開けておくれ!」すると糸車が答えました。「出来ません。私のベルトが無いのです!」
妖精たちは、今度は糸巻棒に頼みました。
「糸巻き棒よ、こっちへきて扉を開けておくれ!」すると糸巻き棒が言いました。「出来ません。私は反対向きに回転していますから」
妖精たちは、今度は梳きぐしに頼みました。
「梳きぐしよ、こっちへ来て扉を開けておくれ!」すると梳きぐしが答えました。「私たちは動けないのです。」
妖精たちは、今度は機織り機に頼みました。
「機織り機よ、こっちへ来て扉を開けておくれ!」すると機織り機が答えました。「出来ません私たちはこんがらがっているんです。」
妖精たちは、今度は縮充用の水に頼みました。
「水よ、こっちへ来て扉を開けておくれ!」すると水が答えました。「出来ません、私は火からおろされています。」
妖精たちは、今度は炉端で焼かれていた小さなバノックパンの事を思い出し、大声で叫びました。
「小さなパンよ、扉を開けておくれ!」小さなバノックパンは跳び起きて、扉へと走っていきました。
彼女はバノックパンをつかまえると、グシャっとつぶして床に落としました。その時、縮充用の水でやるように言われていたことを思い出しました。
そこで、水を入れた器ごと旦那さんに投げつけると、パシャっと水がかかり、旦那さんはすぐさま目を覚ますとベッドから飛び出し、扉を開けました。
すると妖精たちは静まり返り、どこかへ行ってしまいましたとさ。
おわり
~THE GOOD HOUSEWIFE~
(気立ての良いおかみさん)
民話と同じように、
永きにわたりその土地で代々受け継がれ、培われてきた技術と知恵が良質な生地を作り出すのだと思います。。
前回のHARBOURSで行われたスーツのオーダー会で作って頂いたジャケットは
スコットランド製、ハリスツイードです。
しかもヴィンテージ!!
ヴィンテージのハリスツイードはとても希少なのだそうです♪
ディテールの特徴は襟幅広めの二つボタン。
個人的にはクルミボタンが好きです。
ぼくはスーツにはあまり詳しくないのですが、ジンさんとボスが大絶賛!!
勿論ぼくも 想像以上の出来栄えでとてもハッピーです★
良質な生地と、確かな技術でスーツをつくるHOUBOURSのオーダー会。
春夏物のオーダー会は
3月1日、2日
です。
緑の服を着た小さな妖精の息吹を感じてください♪ 笑
おまけ;Stomp-Alleyway
橋本
STOMP/ストンプ
福岡・天神の靴の修理屋さん
Filed under: NEWS&BLOG by STOMP on 木曜日, 2月 13, 2014
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